F1公式サプライヤーのブリヂストンが供給するポテンザタイヤでミディアム・ミディアム・ソフトの戦略で戦ったルイス・ハミルトン(マクラーレン・メルセデス)が、アルバート・パークで開催されたシーズン開幕戦INGオーストラリアGPに優勝した。
ポールポジションからスタートしたハミルトンは、チェッカーフラッグの時点でわずか7台しか残っていないという波乱のレースで優勝を果たした。2位はハミルトンと同じタイヤ戦略で戦ったBMWザウバーのニック・ハイドフェルド。1位とのタイム差は5.4秒だった。
ニコ・ロズベルグ(AT&Tウィリアムズ)が3位でフィニッシュし、F1で初めての表彰台を達成した。ハミルトンとロズベルグはブリヂストンがタイヤを供給するGP2シリーズの優勝経験者でもあるが、元GP2チャンピオンのふたりがグランプリで同じ表彰台に登るのは今回が初めてだった。
レース終盤に素晴らしいポジション争いのバトルを見せたフェルナンド・アロンソ(ルノー)とヘイキ・コバライネン(マクラーレン・メルセデス)が、それぞれ4位と5位。ルーベンス・バリチェロ(HONDA)は6位でフィニッシュしたが、ピットライトが赤の時にピットレーンから出たとして、最終的には失格となった。したがって、グランプリ出場2戦目にしてポイント獲得を果たした中嶋一貴が6位に昇格。完走扱いとなったセバスチャン・ボーデ(トロ・ロッソ)が7位で、グランプリ・デビュー戦でポイントを獲得した。そして、前年チャンピオンのキミ・ライコネン(フェラーリ)も波乱のレースの末、8位でポイントを獲得した。
メルボルンでは気温が急上昇し、ドライバーやクルマにとっては厳しい試練となった。ブリヂストンのミディアムとソフト・コンパウンドのポテンザタイヤは気温の高いコンディションでも素晴らしい性能を発揮し、1ストップ戦略でレースを戦うことも可能だった。今回のレースはセーフティカーの導入で3回中断されている。
現在、ハミルトンが10ポイントでチャンピオンシップをリード、2位は8ポイントのハイドフェルド。コンストラクターズ・チャンピオンシップは14ポイントでマクラーレン・メルセデスが1位、2位は9ポイントのウィリアムズが続いている。
来週、セパンで開催されるペトロナス・マレーシアGPでは、ブリヂストンのハード及びミディアム・コンパウンドのポテンザタイヤが使われる予定だ。
浜島裕英 (株)ブリヂストン MS・MCタイヤ開発本部長
「今日はブリヂストン・ポテンザタイヤのどちらのコンパウンドもとても良いパフォーマンスを見せました。これからデータ分析を行いますが、レース・コンディションでは全体的にミディアム・コンパウンドの方がやや優れていたようです。ソフト・コンパウンドには、特にレース序盤のコースがダスティーな状態ではいくらかグレイニングが見られましたが、1ストップ戦略でも十分な磨耗耐久性がありましたので、われわれはタイヤの性能には満足しています。今日は3回のセーフティカー導入があった波乱のレースでした。最後はわずか7台の完走でしたが、冬のテストでは予想をしていなかったドライバーもポイントを獲得しました。これは、とてもエキサイティングな光景でした。次はマレーシアへ向かいますが、このレースも気温が高く接戦の戦いになるでしょう。
2007年シーズン、FIAの命令を受けてブリヂストンは2種類あるドライコンパウンドのうち柔らかいタイヤに白線をしるしたが、それと同じ形でウエットタイヤにも導入されるというのだ。
ウエットタイヤは特に見た目の区分はされていなかったが、コース上を走っている時にスタンダードウエットなのか、より溝の深い“エクストリーム”ウエットタイヤなのか見分けるのが困難だとの声が上がった。
したがって、ウエットタイヤへのマーキングは2008年に向けてチームの要請を受け、FIAと相談の上、導入が決定したとのこと。
ブリヂストンは今回の変更について“メディアや観客が各チームの戦略をより理解できるようになり、さらにレースを楽しんでもらえる”と満足しているようだ。
また、同社モータースポーツディレクターの安川ひろし氏は、次のようにコメントしている。
「2008年F1シーズンを通して、ブリヂストンは引き続き、各レースで2種類のドライウェザータイヤの軟らかい方に関して、内側から2番目の溝に白線を入れます」
「加えて、エクストリームウエットウェザータイヤにも白いタイヤマーキングを施すことになりました」
「今回の変更によって、ウエットコンディションでのレースの際、F1を観戦する方々に全11チームの戦略をはっきりと理解していただけると思います。F1ファンの楽しみを増やすことに貢献でき、ブリヂストンはとても満足しています」
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